Lifeline Working Group
ライフラインとしてインターネットを活用するために
★ 目的:
インターネットをライフラインとして活用するために、技術的、運用的側面から課題を検討しています。そして、災害時において必要でかつ実用に耐えるシステムの要件をあげ、実際に運用できるシステムの研究・開発を進めています。また、インターネット上で災害訓練を実施することで研究の成果を実験的に検証しています。
★ 背景:
1995年1月17日に起きた阪神淡路大震災において、情報が電気、水道、ガスなどのライフラインに準じて重要であることが明らかになりました。実際に、電話回線やインターネットを含む情報ネットワークがライフラインとして有効に利用されなかったことに対し、WIDEプロジェクトも大きな衝撃を受けました。
そこで震災直後に、北陸先端科学技術大学院大学の篠田陽一助教授の提唱により、災害時のインターネットの役割や可能性について研究するグループ「ライフライン・タスクフォース(後日ライフライン・ワーキンググループに改名)」が結成されました。
★ インターネット災害訓練:
ライフラインとしてのインターネットという観点から、いろいろな可能性を追求していますが、その研究の一つとして、被災者の安否を確認するための生存者情報データベースシステム(IAAシステム)を提案しています。そして、これまでに3回の災害訓練をインターネット上で実施しました。また、技術協力という形で、9月の防災イベントにも協力しています。
- 第1回インターネット災害訓練(1996.1.17,18)
IAAシステムを用いた安否確認訓練とネットワーク切断時のバックアップの訓練を行いました。
- 第2回インターネット災害訓練(1997.1.17)
IAAシステムを用いた安否確認訓練と、日比谷公園へのインターネットカー出動による屋外会場からの安否確認訓練を行いました。IAAシステムにおいてDNSを用いた広域負荷分散、NAT技術を用いた局所負荷分散、衛星回線を用いたマルチキャスト通信技術などが適用されました。
- 被災者支援広域情報通信実験(1997.9.1)
東京都・立川市合同総合防災訓練と千代田区総合防災訓練において、音声応答による電話での情報入力システムによる実験と、電子メールからページャへの情報転送システムを用いた想定被災地への情報伝達の実験への参加による協力を行いました。
- 第3回インターネット災害訓練(1998.1.17,18)
IAAシステムを用いた安否確認訓練と、新潟会場、神戸会場からの安否確認訓練を行いました。第2回に引続きDNSを用いた広域負荷分散、衛星回線を用いたマルチキャスト通信、FAXや電話などのユーザインタフェース技術などが適用されました。
- 被災者支援広域情報通信実験(1998.8.26-9.6)
技術協力として参加しました。千代田区総合防災訓練(1998.8.27、29)において、小学校のパソコンルームへのインターネット接続性確保実験と、IAAシステムを用いた安否確認訓練を行いました。東京都・渋谷区合同総合防災訓練(1998.9.1)では、代々木公園からの安否確認訓練を行いました。
図1 IAAシステムの全体概要
図2 第3回インターネット災害訓練ネットワーク接続図
★ IAAシステム:
IAAシステムは、実際の災害時に有効に働くための要件である、冗長性、安定性、信頼性、耐規模性を考慮して設計されています。第3回訓練におけるIAAシステムの全体概要を図1に、ネットワーク接続状況を図2に示します。
★ 発表論文:
これまでに9本の論文が発表されています。
★ 今後の予定:
- 12.15にInternetWeek98 において「災害時のインターネットの役割」と題したBOFを実施します。
- 1999.1.17(予定)に、第4回インターネット災害訓練を実施します。IAAシステムのサーバを前回の3箇所から、10箇所程度に増やす予定です。
- IAAシステムを定常運用中です。
http://www.iaa.wide.ad.jp/
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