[ ABOUT| HISTORY| MUSEUM| SYMPOSIUM| MESSAGE| RESEARCH ]

WIDE10周年によせて

#08 Kilnam Chon  

キルナム・チョン

APAN
KAIST教授

村井純先生たちとお会いしたのはWIDEプロジェクトが設立される前の1983年で、村井先生たちがJUNETの活動をなさっていた時でした。その頃日本は、当時ARPANET、UUCPNETと呼ばれていたインターネットとの接続がなされたばかりでした。ですから私とWIDEプロジェクト関連の方たちとはもう15年ほどのお付き合いになります。

このWIDEプロジェクトの最も優れた点は、インターネットに適した新しいサブカルチャーを作り出しているという点だと思います。日本はこれまで研究活動においてはさまざまな研究所などが活躍していますが、WIDEプロジェクトはそういった伝統的研究とインターネット・カルチャーを合わせてもっており、インターネットの環境に適したサブカルチャーを作り上げていると思います。現在は分散環境で研究活動をなさっているとのことで、大きなグループとなり、IETFに多大な貢献をし、また素晴らしい実証実験等もおこなっています。WIDEプロジェクトはこのような活動を通して、また優秀な人材をも生み出してきています。このようなWIDEプロジェクトの生み出すサブカルチャーや人材は大変すばらしいと思います。

今後の10年では、おそらくWIDEプロジェクトはいくつかの課題に面することでしょう。たとえばスケーラビリティという点です。WIDEプロジェクトが今後どのようなスケーラビリティを持つようになるでしょうか?今後のインターネットの利用者は現在の10倍、100倍になることが予想されます。また、このような環境になると、ある種の競争、友好的な競争が必要となりますが、このような競争環境というのは日本で作りうるでしょうか?また、アジア太平洋地域に関して、WIDEプロジェクトがアジアでのリーダーシップをとるためには、インターネット・カルチャーのみではなくアジア文化との調和も必要になります。また、日本の研究教育ネットワークについても私は懸念を持っているのですが、というのもこのようにインターネットのインフラが整ってきた時代には研究教育ネットワークもかなりのものが必要となるのですが、日本の現状はアメリカやカナダに比べて劣っていると思われます。これらの点が今後のインターネットの発展に必要とされることだと思いますが、WIDEプロジェクトがというより、日本全体として、この研究教育ネットワークの充実という点を今後の主要な課題として取り上げて取り組む必要があるでしょう。WIDEプロジェクトの10周年おめでとうございました。


[  INDEX  ]


(C)1998 WIDE Project

著作権について
secretariat@wide.ad.jp