Date: Tue, 18 Dec 2001 10:09:40 +0900 From: Yasuhide Yoshimura To: "KURFC List Member" Subject: [KURFC] 京都大学戦 {01} OB・OG各位様 尾宮さんのメールのとおり、京大戦に勝利しました。 本当に‘美しい’勝利でした。この3年間が、この試合の為にあったといっても過 言ではなかった。選手のみならず、私自身も定期戦勝利でこれほどの感動を味わっ たことはありません。 今回はスコアブックが手元になく、取りに行くヒマもビデオ見直すヒマもちょっ とないので、やや不正確な試合経過ですが、取り急ぎ‘感動’お伝えいたしたく メール配信いたします。 【試合内容】 1.前置き 入れ替え戦後のメールでお伝えしていたとおり京都は今年かなり強く、Bリーグ 6位とは言え2位の天理とは4点差、その天理が入れ替えに勝ってAに上がるな ど一歩間違えたらAに上がる勢いでした。市口監督の方針で少人数でラックを組 み、FWまでラインに入れて(多いときは12人ライン)徹底的に回してくる独自 のスタイルで関西でも一目置かれる存在になっていました。ただ、次週の東大定 期戦が東大の80周年を記念して秩父宮で行われることになっており、気持ちが 恐らくそちらに行っているであろうこと。過去2年大勝していて、舐めてくるで あろうことなど、つけいるスキは十分にあると予測していました。そして私が先 週撮ってきた‘偵察ビデオ’解析の結果、こちらFWも合わせて展開、展開力その ものでは太刀打ちできないだろうがマークをハッキリさせ詰めのディフェンスを 行い外に余されたらカバーディフェンスで対応すること、を学生が自主的に判断 して1週間対策練習を行いました。攻撃は、これまでやってきたことを信じてブ チあたろうということで、とにかく京大が自力を発揮する前に、なるべく得点を 重ねられれば勝機はある、と考えていました。 2.試合 12時過ぎ、白水杯の返還後KO。いきなりマークしていた敵13番に突破され ゴール10mほど手前でFB倉員がなんとかタッチに押し出す。このピンチにも皆 で声を掛け合い、動ずることなく凌ぎ切りました。そして5分過ぎ、敵陣10mく らいから連続攻撃から最後は左中間に飛び込みトライ(7-0)。その後、敵のワイ ドライン攻撃を良くしのぎ、逆に1次BK攻撃から一連のFW攻撃、そして崩してか ら再びBK、という九大のパターンが機能して、ゴール前PKからトライ(14-0)。 この後チャージから一瞬のスキをつかれてトライを返される(14-7)。しかし、 今度は九大SH吉次がお返しのチャージからトライ(19-7)。この後も目を覚まし た京大の波状攻撃を気力でディフェンス。しかし、パス回しには一日の長がある 京都はディフェンスのわずかなスキを一瞬のうちに破りトライを奪う(19-14)。 大きかったトライは、前半終了間際、九大が連続攻撃から得意の‘寝てポップ’ パスがつながらずノックオンかと思いきや、FB倉員がそれを足に引っ掛け、その まま敵陣に攻め込みFW連続攻撃から最後はFB倉員がうまくかわしてトライ (24-14)。 後半開始から京大の波状攻撃を10分近く耐え、逆に狙っていた敵のパスミスに 乗じた攻撃でWTB藤山がトライ(29-14)。さらに九大1トライ奪うものの、京大 の一発でトライに結びつける能力は、やはり高く1トライ返され(36-21)。しか し、ここで九大は気力を振り絞ってトライ(41-21)。この2年間やってきたオフ サイドをしないディフェンスの意識も体に染み付いて いたのか、全く九大側の反則はなく、京大の連続ワイド攻撃にひたすら耐え続け 相手のミスを、そしてそこからの攻撃に賭けました。その姿は圧巻で根負けした 京大がキックで逃げたりノックオン、スローフォワードを繰り返しました。 そして後半30分、相手ミスに畑田(兄)が足で引っ掛けインゴールへ、トライな ら勝負ありでしたが京大も必死に帰り判定はドロップアウト。大きくけり返され、 ここからでした、今までにない走量の負荷から九大選手の足が次々につり始め、 まずSH吉次がアウト。精神的なショックもあったか浮ついた九大から5分間で2 トライを返され、この時点で41−36.1トライ1ゴールで逆転のピンチ。し かし、WTBの藤山をSHにし、トーナメントでの肩脱臼の傷を入れ替え戦で無理をし たため、この日はリザーブに入り声を出し続けていた副将の南薗をWTBに入れ ‘気持ち’を注入。選手はほとんど考える気力もなかったでしょうが、とにかく ‘この1年間の気持ちを全部出そう’と私も声をかけ続け、必死のディフェン ス。なんとか敵のペナルティーを誘いタッチに蹴りだす。まだ時間はあると思っ ていたが、ここで歓喜のノーサイド。 【この試合の意義】 辛くプレッシャーのかかったリーグ戦から入れ替え戦を、少ない選手をやりくり しながらチームとしてまとまり、成長を続けてきた今年の九大でした。地力的に は1部でやれるほどの力はついていたと感じるものの、どんなに頑張ってもやは り九州ではまだ、やっと2部に上がっただけのチームです。そんな中、関西で近 年名をはせ始めた京大戦は、自分達が全国でどのくらいの位置にいるのかを問え る試金石でした。そして、この3年間いろいろあったものの、その全てを受け入 れつつ自分達の将来を信じて努力してきた九大ラグビー部にとって、この京大戦 は、ただの定期戦という存在を超えたものでした。 京大の選手の中に、私の阪大時代の教え子(ラグビーの)の友人がいて、昨年少 し話しました。その子は今年も出場していて、レセプション後、わざわざ私のと ころに来て、‘昨年はおととし(116-10)よりはずっと強くなったと思っていま したが、この2年間で本当にやられるところまでくるとは思いませんでした。こ の敗戦から九大の成長から多くのことが学べました。自分は大学院に行きます。 今日は本当に悔しいし、まだまだやることがあると思えたので来年もやります’ と言ってくれました。そんな気持ちで向かってくる京大を連破すべく、我々もま た研鑚を重ねます。お互いがベストを尽くしあい相手を尊敬できる、双方の選手 がこのゲームで大きく成長できた、そんなゲームでした。冒頭で私が‘美しい’ 勝利、と書いた気持ちがここにあります。 *********************************** Dept. of Medical Biophysics & Radiation Biology , Faculty of Medical Sciences, Graduate Schools, Kyushu University 1-1, Maidashi 3-chome, Higashi-ku, Fukuoka 812-8582 Japan Tel: 81-92-642-6143 Fax: 81-92-642-6145 812-8582 福岡市東区馬出3丁目1ー1 九州大学大学院 医学研究院 医学生物物理学講座・基礎放射線医学分野 Tel: 092-642-6143 Fax: 092-642-6145 吉村 康秀